時は19世紀。60年以上の長きにわたって君臨したヴィクトリア女王のもと、イギリスは繁栄を謳歌していました。
この品はヴィクトリア朝の中期、1860年頃の傑作。
写真を忍ばせる“ロケット”としては特に大きなもので、アンティークジュエリーの中でも異色の逸品です。
美しい3色の色合いのエナメルを用いて、中央部分においてはギィロッシェという技法でエナメルの下地の部分に彫り柄をつけ、
その柄をエナメルを透かして見せるという凝った技法を駆使しています。中央のエナメルの上にはダイアモンドで描かれたダブルハートにリボンのモチーフ。
寄り添うハートは、当時もてはやされたモチーフです。
そしてロケットの中には愛らしい男の子の写真が納められています。
ヴィクトリア朝時代のロマンチックな習慣で親愛なる人がいつもそばにいてほしいという思いから写真をロケットに忍ばせ身につけていたのでしょう。
このペンダントは今では、なくなってしまったロケットという写真を忍ばせることができるようになっているペンダント。
ヴィクトリア朝時代のイギリスのロマンティックなジュエリーです。
今では携帯電話で簡単に写真を撮り送ることができます。
しかし、このような習慣があった頃のロケットを見るともっと人を愛することの奥深さを教えてくれるような気がします。
そういえば、母も戦後小さなロケットに父の写真を入れていた話を思い出しました。
このロケットとともに人を愛するロマンティックなやさしさをあらためて教えてもらったようで幸せな気分になることができました。
そして私も娘の写真に手をのばした・・・・・。